「春眠暁を覚えず」 まもなくそんな季節が近づいてきますね。
孟浩然(もうこうねん)の漢文の一説で、春の眠りは心地がよくて朝になったことに気付かず、ついつい眠り込んでしまってなかなか目が覚めない・・・といった意味をあらわしているものです。今日はそんな”眠り”について書いてみようと思います。
厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド
みなさんはこちらの厚生労働省が定めている健康づくりのための睡眠ガイドをご存じでしょうか??
睡眠に悩むクライエントさんによく私も紹介させていただいていたこちらですが、前回2014年に定められたものから約10年ぶりに改定がされました!
今回の改訂では各年代(成人、子供、高齢者)にわけて睡眠のコツについて示されたことが一つの大きなポイントかなと思いますが、成人に焦点をあててまとめてみたいと思います。
まず、成人の場合には6時間以上の睡眠が確保できることが推奨されています(もちろん個人差はあります)。短い睡眠時間は健康へのリスクが明らかになっているようです。例えば・・・
・睡眠時間が7時間前後だとうつ病や生活習慣病のリスクが最も低い
・睡眠時間が5時間未満の人は5時間以上の人より肥満やメタボリックシンドロームのリスクが高い
・睡眠時間が6時間未満の人は7時間以上8時間未満の人に比べて血管疾患のリスクが高い
このように、短い睡眠はただ日中眠くなる、集中できないといった短期的なリスクだけではないことがよくわかります。
さらに、驚きなのは休みの日の「寝だめ」は実際に眠りをためることができず、逆に休日の寝だめが必要な場合には平日の睡眠時間の不足のサインだと指摘されていることです!!私もついついやっちゃいがちなのですが、体内時計を安定させて良質な睡眠を得るためには平日休日問わず一定の睡眠をとれることが理想のようです。
そして睡眠時間がどうしても注目されがちですが、睡眠でちゃんと休養ができているという感覚をあらわす”睡眠休養感”を高めることも重要です(量より質ではなく、量も質も大事と!)
この睡眠休養感を高めるためには、次のような睡眠環境や生活習慣を整える工夫を取り入れることが必要となります。
睡眠休養感を高める環境づくりのコツ
①光
朝や日中に光を浴びて体内時計をリセット・調節をすることが大切です。私はなかなか朝起きられないクライエントさんに、寝る前に部屋を暗くしたあとカーテンをあけてレースのカーテンだけで寝ると嫌でも朝に光が入るのですっきり起きれる場合があります、とお勧めすることがあります。
そして光=日中のイメージがありますが、夜の光である就寝前のスマホやタブレット、パソコンの使用も入眠や睡眠の質が妨げられやすいと言われています(これがなかなか難しいですが‥‥)
②温度
暑すぎず寒すぎず、服装の工夫やエアコンを使いながらほどよい温度を調整してみましょう。冬は寝具の工夫や着こむことで対策ができますが、夏場が意外と自分に合う温度を見つけるのが難しいかもしれません。
③音
なるべく騒音を避けた睡眠環境づくりをしましょう。40db未満が推奨されているようですが、40dbの目安は図書館の中や昼間の閑静な住宅地、人と話している時に周りの音は聞こえるけれど会話には支障がない程度の音量になります。
睡眠休養感を高める生活習慣のコツ
①運動
適度な運動習慣がない人は、睡眠休養間が低いことがわかっているようです。運動には入眠の促進や中途覚醒の減少などメリットがたくさんあります。睡眠改善に最も効果的な運動の種類は現時点では特定されていないようなので、いつもより早く歩いてみる、ストレッチ、家事を積極的にこなすなどなど無理なくやれるものをまずは取り入れられると良いでしょう。
②食事
朝食を抜くことで、睡眠休養感が低下することが明らかになっています。加えて、就寝前の夜食や間食も推奨されず、体内時計を後退させてしまいます。
そして睡眠との関連でよく言われるのがカフェインやアルコールなどの嗜好品とよばれるものです。
・カフェイン
1日400mgを超えないように(コーヒーカップで4杯程度)。コンビニでエナジードリンクやペットボトルのコーヒーを買う時にラベルを見て確認してみるのも良いかもしれません。また、夕方以降の摂取は夜の睡眠に影響することがわかっています。